「益久綿」のこと



  ●益久綿ができるまで
  ●益久綿を作る中国の工房取材記その1 その2



 益久綿を作る中国の工房取材記  〜手染メ屋アオキ

 〜取材記その2〜






 B染め・織り・捺染

近くの農家にお願いして綿花から作られた紡ぎ糸が完成すると益久の中国工房に運ばれ、様々な加工に入ります。昔ながらの力織機や手織り・裂織、染めや捺染も工房内で全て行います。

ここでも大切なのはヒトの手。どの作業でも真剣に皆さん作業をされていました。
全ての作業を紹介したいのですがそれは中々難しいのでその中から代表のものをいくつか。

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これは力織機です。工房内の自動織機は全てこの力織機。杼(シャトル)が動力で左右に飛び横糸を入れます。今のレピア機やエアジェット機に比べて数倍遅い機械です。使うのにも手間がかかるし。でもその方が手紡ぎの糸には良いんです。仕事が遅くて糸に負担をかけないから。
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裂き織りを手織り機で織る作業です。よく見てください。裂き織りに必需品の板杼(いたび)が無いですよね。これ、割いた生地を杼に巻かず一本ずつ手で入れてるんですよっ!だから全然織り進められない・・。何でこんなややこしいコとしているかと言うと・・・、次の画像を御覧あれ。
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これは裂き織りに使う糸(というか布)。よく見てください。糸が斜めに走ってますよね。益久綿の裂き織りは生地を裂きません。全てバイアス(斜め)に生地を切って使います。そうすれば糸がほつれて来ないですから。でも斜めにきれいに切るから長い糸にならずに杼に巻けないんです。手間を犠牲にして完成度の高い裂き織り生地を作ってます!
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益久の中国工房では手捺染もしています。型を作る機械や道具も工房内に揃っていて、図案があれば工房内で全て一貫して作業できるんです。捺染台は2.5m巾!カーテンや寝具のプリントもOKです。全て手作業で、オートスクリーンなどはありません。重ねは大体5枚くらいまで、とのことでした。
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これは糸染めをしているところ。奥にいるお兄さんが綛の状態を常にチェックしながらグルグル回して染めていきます。反応染料がほとんどですが、もちろん天然染料の染めも行っています。
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染めあがった糸を中庭に持っていって干しているところ。ひと綛ずつ手作業でひろげて掛けていきます。糸をかけるこの太い竹の棒も、糸が引っかからないようにきれいに節取りされています。当たり前と言えば当たり前ですが、この当たり前の手間の積み重ねが大変なんですよね。





 C織り生地の補修 〜益久綿の生地の仕上がりを裏で支える花形作業

益久の中国工房で行っている大切な作業はたくさんありますが、中でも最も重要で熟練を要する、そして地味ながらある意味最も素晴らしく花形な作業が今から紹介する織り傷の補修です。

補修と言うととても裏方な仕事ですよね。確かにそうです。でも、益久綿の布地はこの作業のクオリティがどれだけ高いかによって仕上がりの完成度が大きく左右されると言っても全く過言ではありません。
中国工房での益久綿は全て手紡ぎです。しっかり紡がれてはいますが糸の太さが均一でない為やはり織りの途中で切れたりほつれたりし易くなります。もちろん織りの作業でできるだけ糸切れが出ない調節をしますが、あまり細かく調節しだすと織り上げることが出来なくなります。

そこで益久の中国工房は、織りの精度は手紡ぎ糸に負担をかけない程度のファジーな設定で織ることにしました。するともちろん織り傷が出ます。その傷はついたままほっといて最後まで織ってしまうんです。
そして、その後全力で補修します!生地を注意深く見て、ちょっとでも傷があるところは徹底的に手作業で直します。工業製品の生地のチェックのような、傷部を切り落としたり仕上がりm数から差し引くだけ、何てことはしません。全て、本当に全て手作業で直すんです!

今回取材をして、ボクが最も驚いた工程のひとつがこの補修です。これ、是非画像を大きくしながら御覧頂きたいです。
それではどうぞっ!


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布の補修をしているところ。広い机に生地をひろげて二人一組でチェックしています。そしてキズを見つけたらその場ですぐ補修。普通の生地のチェックとは全然違うでしょ。
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作業している女の子に頼んで作業を撮らせて頂きました。御覧のように糸が切れてほつれて出ています。これはもちろん補修対象。目ざとく発見した彼女がこれから補修します。
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同じ色糸を長い太めの針につけ、キズ部のだいぶ手前から織り組織通り針を入れていきます。これがすごいっ!「ゆっくりやって!」と頼まなければ全然画像になんて撮れません。
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ちょっとボクが気を抜くと女の子すぐ普段通りのペースで仕事しちゃいます^^;。で、こんな風に何をしているのか全然わからない・・・。聞くと、糸目なんて全然見てないらしいです。手の感覚で針の動きを覚えていて、クイッ、クイッ、と針を入れてはプルプルと生地になじませていきます。
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これは出来上がりの図。糸を入れた後に元の織り糸ときれいにそろえてプチンとはさみで切る。針とはさみを同時に持っての作業です。ちなみに言い忘れましたがこの素材はダブルガーゼ。裏にも生地があって、表だけの糸をすくって織り目通りに針を入れるのは至難の技。ためしにボクもちょっとさせてもらいましたが、一目も入れられなかったのは言うまでもありません(笑)。
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ガーゼ素材だけでなく画像の帆布のような織り目のしっかり詰まった素材も同じように補修します。補修担当にもやはり熟練度合いがあり、その技術に合った素材を責任者が割り振って渡しているようです。いや、それにしてもすごい。この補修がしっかりしているから織りの担当も安心して仕事ができるんですね。





 D中国工房のスバラシイ職人さん達 〜番外編

益久綿に携わる中国の方達をざざっとここまで紹介いたしましたが、この他にもお話で来ていない方たちが大勢いらっしゃいます!その中から数名の方達を、順不同ですが最後にここでご紹介します!

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この方が中国工房の全責任者、張社長です。西田敏行似のお茶目なオジサンです(笑)。優しくて思慮深くて、ホントご一緒させて頂いてとても楽しい方です。そんなひょうきんな社長が真剣にデスクワークされているところをパチリ!
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丁度契約先の農家から茶綿の原綿が届いたのをスタッフ皆で見ている風景。左から益久染織研究所の吉井さん、中国工房と益久染織研究所の仲介役を務めてくれる呉さん。
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彼女は試験染色室の責任者。とても責任感と好奇心があり、今回一番会話を交わした(筆談で)職員さんでした。化学の知識もとても深く、こちらの化学示性式や説明中の反応式をほぼ全て認識してました。ウチの工房のスタッフに欲しい位。可愛かったし(笑)。
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職員用食堂のお昼休みの風景。御覧の通りほとんどが20歳前後の女の子です。しかも皆ホント可愛い!作業中の目は皆さん真剣そのものですが、やはりお昼時になるとぱぁっと女の子に戻ります。いいな、こんな職場、うらやましいです(笑)。
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このお兄さんは食堂の専属料理人さん。元々工房内で作業をしていたところ、料理好きが買われてこちらに配属になったとか。かなりの凝り性のようで、材料仕入れや厨房管理は全て彼一人でやっているそうです。カメラを向けると恥かしがる中国の方が多い中、彼は間際でシャッターを切っても全く動じなかった男前のシェフさんです。笑うと可愛いんですヨ、これがまた【^^】。
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中国工房に滞在中のある日の昼食。工房に滞在中のお昼ご飯は全て先ほどの工房の料理人の彼の手によるものでしたがこれが全て絶品でした! いろいろ外でも美味しい食事をさせていただきましたが、彼の料理が一番好きでした。益久綿とは関係ないですけど(苦笑)。すみません、どうしてもどこかで美味しい中国料理の写真を載せたかったので^^;。


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